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生物の多様性の評価

語句説明


  • 操作的分類群 operational taxonomic unit (OTU)
必須遺伝子の塩基配列(細菌;16S,真菌;ITS領域,動物;COⅠなど)を決定し,そのうち類似性の高い配列データを1つのグループOTUとしてまとめたもの。

例えば,土壌に住む微生物からDNAを抽出し,必須遺伝子の塩基配列を次世代シークエンサーによって解読する。その後,解読された配列の類似度(例えば,97%以上)をもつものは同一の菌種として考える。また、その配列とデータベースの配列を比較する事で,土壌中の微生物を推定することができる。。

  • シングルトン(Singleton)
微生物集団の中で,ただ1個体だけ現れた種

  • ダブルトン(Doubleton)
微生物集団の中で,2個体だけ現れた種


生物の多様性の評価

  • 生物種の種数 species richness
上記で示した次世代シークエンサーを用いたOTU解析によって,土壌中の微生物をすべて同定できるか?
答えは,できません。そこで,singletonとdoubletonの数から土壌中の生物種数を推測する方法(Chao 1)があります。

              Sall = Sobs + (n-1/n)(f1(f1-1)/2(f2+1))

Sall:推定される全生物種数
Sobs:サンプルから観測された生物種数
f1:Singleton数
f2:Doubleton数
n:総個体数

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  • シャノン・ウィーナーの多様度指数 Shannon-Weiner

                   H' = -Σpilog2pi
                  ただし,pi= ni/N

ni:グループの個体数
N
:総個体数

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  • 種の均等度 species evenness
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  • α多様性
とある地点における種多様性
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β多様性

2つの地点での種多様性の違い。β多様性には、考慮する情報によって、いくつかの考え方がある。

  • Jaccard 指数
古くからある指数で、生物の在・不在に基づくデータに対して、以下の式よって求められる。

J = c / (a +b - c)
a; サンプル Aに含まれる種数
b; サンプル B に含まれる種数
c; A と B に共通に含まれる種数
参考文献
多様度と類似度、分類学的新指標


  • Bray-Curtis 非類似度
Bray–Curtis 非類似度は、生態学や生物学で、2つの異なる情報(生物の在・不在とその種数)の非類似度を定量する際に使用される統計値です。

参考文献
Bray–Curtis dissimilarity [wiki]
多様度と類似度、分類学的新指標


  • UniFrac
UniFracは生物学的集団を比較するために使用される距離計量です。Bray-Curtis 非類似度と異なるのは、系統発生距離を考慮することで、集団メンバーの相対的関係を取り入れる部分。また UniFracは、weighted (定量的)とunweighted (定性的) 方法が広く使用されており、前者は観測された生物の種数を考慮し、後者は生物の在・不在のみ考慮する。

以上のことをまとめると、β多様性は以下のような使い分けをすればよいかと思う。

  在・不在データ カウントデータ
 系統発生距離なし  Jaccard  Bray-Curtis
 系統発生距離あり  Unweighted_UniFrac  Weighted_UniFrac



  • γ多様性
対象の地点すべての種多様性
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  • Mantel検定
(非)類似度行列同士の相関を検定。
例) 群集の類似度と環境の類似度は関係あるか?

  • ANOSIM(類似性分析)
グループ内類似度とグループ間類似度の差を検定

  • PERMANOVA(ノンパラメトリック多変量分散分析)
ANOSIMと同様の場面で使われる。ANOSIMの欠点をカバーできているとか
関数adonisで計算できる。





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